見たもの記録

映画・漫画・アニメ

菌が肉眼で見える男【もやしもん】

もやしもん

作者 石川雅之 全13巻

出版社 講談社 掲載誌 イブニング

あらすじ

種麹屋の息子、沢木直保(さわきただやす)は肉眼で菌を見ることができ、会話もできる不思議な能力の持ち主。幼馴染の結城蛍(ゆうきけい)と共に都内の農業大学に入学する。入学早々事件に巻き込まれ、祖父の友人である少々変わり者で菌の研究をしている樹(いつき)教授に気に入られる。美人でいつもSM嬢のような恰好をしている院生の長谷川、密造酒作りに失敗し多額の借金を背負う先輩の美里と川浜、個性豊かな面々とともに大学生活を送ることになった直保は、菌やウイルスに纏わる様々な騒動に巻き込まれていく。

ネタバレ感想

雰囲気はほのぼのとしていますが毎度起こる事件のクセが強くておもしろい農業コメディ。1話からインパクトがあり、アザラシの腹の中に海鳥を数十羽詰め込み、それを土の中で熟成させてできるアラスカの発酵食品キビヤックを作って食べるシーンは衝撃を受けました。(樹先生が大学の敷地内で勝手に作り警察沙汰になる)

菌たちが可愛いのも見どころ。菌の種類ごとに見た目や性格に個性があり、「ただやすー」といいながらそこらへんに漂っていたりしてほっこりします。

いつも悪知恵を働かせて何か企んでいるどうしようもない先輩美里と川浜ですが、この二人のやさぐれ具合がとてもいい味を出しています。美里の恋模様も出てきて、結末が最高にキュンキュンです。美里のモデルは笑い飯の西田さんだそうで、実写版ドラマでは西田さん本人が美里を演じています。

菌オタク樹先生のうんちくが恐ろしく長台詞で眼精疲労促進しますがとても勉強になりる。日本人に馴染み深い醬油や味噌、納豆などがどうやって作られるのか、菌がどんな働きをしているのかなどかなり細かく説明してくれます。

これを読んでビールと日本酒が好きになりました。

 

結末から始まる映画【メメント】

MEMENTO

作品詳細

2001年公開 時間 113分

監督・脚本 クリストファー・ノーラン 主演 ガイ・ピアース

あらすじ

妻を殺害されたショックで10分しか記憶を保てなくなった男レナード。彼は妻殺しの犯人を追っていて記憶障害のため、重要なことは忘れないようタトゥーにして体に刻んでいる。親交のある相手も10分後には初対面のように感じてしまうため、写真を撮り名前を書いておくなどして慎重に犯人を捜す。疑心暗鬼の中捜査を進めるレナードだが、物語が進むにつれ衝撃の事実が明らかとなる、、、

感想&軽く解説

難解映画として有名なメメントですが、一度見ただけではまず理解しきれないでしょう。というのも、逆再生で映画が進んでいくからです。

冒頭でレナードが犯人を殺害するシーンから始まります。次のシーンはそこから10分前のシーンから始まり、その次はまたその10分前から、という流れで進みます。なので解説とかあらすじがとても説明しづらいです。

また、この映画はカラーのシーンと白黒のシーンがあり、カラーは結末からの逆再生、白黒は犯人捜しするところからの普通の時間の進み方、で構成されています。そしてザックリいうと二つの時間軸が重なり合うところが本当の結末、といった感じです。

かなりわかりずらい進み方ですが、この逆再生だからこそレナードが体験している10分前の記憶が無くなる状態と同じ目線で見ることができます。自分が何をしてきてこの状況になっているのか、その記憶がないのは怖いですね。

ちなみにメメントという言葉には「記憶」「思い出せ」「忘れるな」といった意味があるそうです。

 

真夏はクーラー第一優先【サマータイムマシンブルース】

サマータイムマシンブルース

作品詳細

2005年公開 時間 107分

監督 本広克行 原作・脚本 上田誠

出演者 瑛太上野樹里ムロツヨシ佐々木蔵之介

あらすじ

真夏日、大学のSF研究部員たちはクーラーの効いた快適な部屋でSF研究もせず野球をしながら夏を謳歌していた。ある日些細なことがきっかけでクーラーのリモコンが壊れてしまう。翌日、部員たちの前に突然タイムマシンのような金属物体が現れる。試しに乗ってみると、それは本物のタイムマシンだった。部員たちは壊れる前のクーラーのリモコンを取りに昨日へタイムスリップする。楽しくなった彼らはリモコン以外に様々ないたずらをして帰ってくるが、SF研の教授によると過去を変えると今の世界が無くなってしまうと告げられる。部員たちは急いでもう一度昨日に戻り、自分たちのしたいたずらを必死に回収しようとするが、、、

感想

タイムスリップ系の映画では王道の展開といえます。

部員たちがだらしなくて、ただクーラーをつけたいが為に奮闘しているところがおもしろい。昨日だけでなく未来に行ったり、大昔にスリップしたりもします。カッパのくだりはよくできた作りでした。主人公の恋模様もさりげなく絡んでいて、ソワソワさせられます。

夏になると見たくなる作品。

全員片思い【ハチミツとクローバー】

ハチミツとクローバー

作者 羽海野チカ 全10巻

出版社 宝島社集英社

人物紹介

美大生の竹本裕太は、同じ格安アパートに住む先輩の森田忍や真山巧たちと共に騒がしくも楽しい大学生活を送っていた。ある日お世話になっている花本教授の姪、花本はぐみと出会い一目惚れする。

大学一の変人で奇行を繰り返す森田は変人でありながら美術の才能は飛びぬけており、森田もはぐみに対して特別な感情を抱く。

はぐみはとても内気な性格で体も小さく小人のような容姿をしている。かなりの人見知りで竹本等と出会うまでは友達ができなかった。意味不明な絡みをしてくる森田にいつもビクビクしている。美術に関しては天才肌で先生たちから一目置かれている。

真山は常識人で真面目に学生をしながら花本教授に紹介された会社で仕事も手伝っている。仕事先の経営者である原田理花に片思い中。

真山に思いを寄せる山田あゆみは、彼に意中の女性がいることを知りながらも一途に思い続けている。スタイルが抜群で地元の商店街では憧れの的であり、陶芸の才能がある。

感想

主に上記の5人の恋模様と、自分の才能や将来について悩み迷う若者たちのストーリーです。

ギャグ要素が強めで笑える場面もたくさんあるし、全員片思いなので切なくなる場面もたくさんあります。とにかく学生特有の甘酸っぱさを存分に感じさせてくれる作品です。

山田の好意に気づいている真山ですが、冷たく突き放すことができないのでいつも優しく接してきます。山田を介抱しておんぶで送ってあげたり、そりゃ諦められないですね。

竹本は天才肌の森田が恋のライバルだと気づき、将来のこともあり自身喪失して自分探しに飛び出してしまうシーンや、常識人であるはずの真山が片思い中の理花にストーカーじみた行為をして周囲にいじられまくったり、人間臭さがしっかり出ていて憎めないキャラばかりです。理花さんが美人すぎる。

青春を味わいたい人にはぴったりの作品です。絵もとてもかわいいです。

 

 

彼女の実家がなんかずっと気持ち悪い【ゲットアウト】

GETOUT

作品詳細

2017年公開 時間 104分

監督 ジョーダン・ピール 主演 ダニエル・カルーヤ

あらすじ

NYに暮らすアフリカ系アメリカ人のクリスは白人の彼女ローズの実家に招待される。彼女の家族に黒人に対する偏見がないか心配してたが、それどころかとても手厚く歓迎される。しかしその家には黒人の使用人が二人おり違和感を覚える。

その後彼女の両親が知人を招いてパーティーをするので参加してほしいと言われ、大勢の白人たちが訪れる。知人たちの多くは年配で、過剰なまでにクリスに興味を持ち、その態度は気持ち悪さまでも感じられる。また客人の中に年配の白人女性と若い黒人の夫婦がおり、さらに違和感が増していく。

気分が悪くなりローズと共にいったん席を外すクリスだが、その間客人たちが集まりオークションのようなことをし始めた。客人たちの視線の先にあったものはクリスの写真であった、、、クリスが抱いた違和感の正体とは?

ネタバレ感想

見てる途中でタイトルの意味が分かった時は鳥肌でした。

この白人たちのオークションの目的は、クリスを奴隷にしたり使用人にするためではありません。このパーティーに参加しているのは年配の人ばかりです。ローズの父親は外科医で、実はこの家では若い黒人に自分の脳を移植をし、若々しく健康的な新しい身体を提供するという非人道的なことが行われていたのです。

なので今回のパーティーは親睦会に見せかけてクリスの品定めをしていたわけですね。またこの家の使用人の二人も脳移植の被害者で、その中身はローズの祖父と祖母です。若い身体が嬉しくて夜中に爆走する祖父は少し笑えました。また祖母の体の役者さんの演技が素晴らしく、満面の笑みで涙するシーンはとても印象的です。

黒人差別を示唆するようなシーンがいくつかあり、現代でもまだ差別が続いていることを伝えようとしていると感じました。

DVDだとグッドエンドとバッドエンドの両方が見られます。

何度でも全力であなたをダメにする【四畳半神話大系】

四畳半神話大系

2010年放送 監督:湯浅政明 原作:森見登美彦

あらすじ

大学三回生でテニスサークルに所属する主人公「私」。非活動的で社交性を持ち合わせていない彼は、入学当初「薔薇色のキャンパスライフ」に憧れていた。しかし同学年で同じサークルに所属する悪友「小津」に振り回されサークル内では孤立し、恋愛もうまくいかず散々な目に合う。小津のせいで非常に不毛な学生生活を送ることになった彼は、入学式のあの日もし違うサークルに入っていればこんなことにはならなかったと思い返す。時間よもどれ!!

感想※ネタバレあり

大好きな作品です。小説が原作になっています。

このアニメは各話ごとにタイムリープし、前回の学生生活の記憶はありませんが毎回違うサークルでのストーリーが描かれ、毎回小津に振り回され毎回不毛な学生生活を送るという物語です。

主人公のセリフがとても早口で難しい言葉を使う長台詞が多く、インテリ系の秀才といった雰囲気がプンプンしていますが実はただのダメ人間というところが面白いです。

また登場人物も曲者ぞろいです。いつも着物と下駄で過ごす大学8回生で小津の師匠でもある「樋口師匠」や、樋口のライバルでラブドールと同棲している変態自信家の「城ケ崎先輩」、酔うと人の顔を舐める美人歯科医の「羽貫さん」、歯に着せぬ物言いで周りの者を寄せ付けない後輩でクールな黒髪の乙女「明石さん」。など”愛おしいバカ”なキャラがたくさんでてきます。

作画が独特で、クレヨンしんちゃんの映画の時のようなキャラデザインです。京都の街並みもカラフルに描かれていてとてもキレイなので目でも楽しめます。

フラグがたくさんあるので見直したくなる作品。最後は胸アツで主人公らしいラストでした。

 

 

 

一日で人生が終わるビーチ【オールド】

OLD

映画詳細

2021年公開 時間 108分

監督 M・ナイト・シャマラン

出演 ガエル・ガルシア・ベルナルヴィッキー・クリープスアレックス・ウルフトーマシン・マッケンジー

あらすじ

休暇でリゾートに来ていた4人家族。ホテルのオーナーに気に入られ特別なビーチに招待されることになった。複数の家族と共に人里離れた美しいビーチに案内される。そこは海と断崖絶壁に囲まれた完全なプライベートビーチで、家族は楽しんで過ごしていた。すると息子がいないことに気づく母親。よく見ると6歳だった息子が急激に成長しその見た目は青年になっていた。他の家族にも異変が起き始め、ビーチから離れようとしてもなぜか来た道からは帰ることができない。家族はこの恐ろしいビーチから抜け出すことはできるのか?

感想※ネタバレあり

このビーチでは実際よりも遥かに早い時間が流れています。正確には30分で1年。一日で約50年もの時間が経つことになります。子供たちはみるみるうちに成長していくし、老婆は数時間で寿命が訪れます。また幼児たちは何の教育も受けないまま体だけ大人になっていくので、子供同士でただ遊んでいたつもりが子供を作ってしまったりします。

ただ恐ろしいビーチというだけでなくこのビーチに連れてこられた理由も印象深いです。正気の沙汰とは思えない理由でしたがなるほどな~と思ってしまいました。

ラストはとてもスッキリします。